DroR Laboratory RESEARCH & FIELD NOTES

Research

COSフレームワーク全体

組織はなぜ、変わろうとしても変われないのか。私たちはこの問いに、複雑系科学・神経科学・組織心理学・行動科学を統合した理論的枠組みで答えます。臨床組織科学(Clinical Organizational Science、以下COS)は、組織変革を「行動変容のプロジェクト」から「構造的介入の問題」へと再定義する、研究実践ファームDroRの基盤フレームワークです。

COSフレームワーク全体に関連する研究資料と組織変革の概念図を示すビジュアル

COS BRIEF

COSは、組織が止まる構造を読み解くための理論基盤です。

停滞を精神論にせず、個人、関係性、組織ルーチンをつなげて扱います。

経営

停滞の原因を置き換える

停滞を「やる気」や「能力」ではなく、再生産される相互作用として捉えます。

人事・変革推進

階層をつなげて診断する

個人、関係性、組織ルーチンの階層をつなげて診断します。

相談時

観察の前提をそろえる

構造的介入の前提を、初回相談や観察フェーズで整理します。

CONCEPT POSITION

COSの各概念を、組織変革の中で使える位置に置く。

どの階層を見て、何を変え、何を守るのかが分かります。

対象階層

個人、相互作用、会議体、業務、組織ルーティン

診断観点

安定を再生産している関係性と判断パターン

介入点

フィードバック、役割、リズム、環境、記録

倫理条件

自律性、透明性、参加、取消可能性

ORIGINAL FIGURES

論文掲載図表は、原典の記録として論文ページにまとめています。このページでは、概念の位置づけをサイト側の図解で整理します。

論文図表を見る

PUBLIC EVIDENCE

研究成果と外部掲載を、公開情報として示す。

DroRの方法論は、社内だけで語る独自理論ではありません。査読済み論文・外部配信・公式発表として公開されており、理論的背景をご自身で確認いただけます。

Peer-reviewed paper

臨床組織科学: 複雑組織における構造的介入のための統合的フレームワーク

Journal
Frontiers in Psychology, Organizational Psychology, Vol. 17
Article type
Conceptual Analysis
Published
2026-04-30
DOI
10.3389/fpsyg.2026.1827324
論文本文を確認する
Research basis

査読済み国際誌

Frontiers in PsychologyのOrganizational Psychologyセクションで公開されたConceptual Analysis論文を、研究基盤として参照できます。

Public record

外部配信・公式発表

EurekAlert!とPR TIMESで、論文情報、公開日、DOI、研究概要をご覧いただけます。

Practice structure

研究と実装の接続

COSの中核技法と高度専門BPOを接続し、診断、構造設計、運用定着までを一体で説明できるサービス構造に整理しています。

External records

External science release / EurekAlert! / 2026-05-07 Clinical Organizational Science proposes a structural explanation for why organizations resist change AAAS運営のEurekAlert!に掲載された外部向け研究リリース。COSを、行動変容だけでなく相互作用構造の問題として説明しています。 Official announcement / PR TIMES / 2026-05-07 株式会社DroR、臨床組織科学(COS)を国際学術誌で発表──組織変革を「行動変容」から「構造的介入」へ再定義 国際学術誌でのCOS論文公開を知らせる公式発表。Frontiers論文、著者、公開日、ライセンス、事業概要を確認できます。 Method commentary / PR TIMES / 2026-05-07 組織変革はなぜ「元に戻る」のか──COSが組織の安定を「能動的に再生産される動的状態」として再定義 COSの考え方を、組織変革が元に戻る理由と構造的介入の観点から説明した公式発表。 Method commentary / PR TIMES / 2026-05-07 組織は機械ではなく複雑適応系である──COSが依拠するComplex Adaptive Systemとしての組織観 組織をComplex Adaptive Systemとして捉えるCOSの前提を説明した公式発表。 Official certification list / 内閣官房 国土強靱化推進室 / 2026-03-31 国土強靱化貢献団体認証 レジリエンス認証 新規取得団体一覧 2026年3月31日付の新規認証取得団体一覧に、株式会社DroRがレジリエンス認証取得団体として掲載されています。 Certification / PR TIMES / 2025-12-23 株式会社DroR、レジリエンス認証(事業継続および社会貢献)を取得 事業継続計画(BCP)と社会貢献の取り組みを、外部認証として確認できる公式発表。 Partner / PR TIMES / 2025-05-30 株式会社DroR、「マネーフォワード クラウド」の導入支援を本格化 マネーフォワード クラウドの導入支援体制と、IT導入補助金2025対象ツール登録に関する公式発表。 Service / PR TIMES / 2025-04-24 “弱み”を捨てない経営──新時代のBPOを本格展開【株式会社DroR】 高度専門BPOの提供背景を紹介した公式発表。研究実践と日常実務を接続するサービスの考え方をご覧いただけます。

要点

  • 組織が変わっても元に戻るのは、意欲の問題ではなく、現状を毎日再生産している“構造”が変わらないから。
  • COSは組織変革を「行動を変えるプロジェクト」から「構造への介入」へと定義し直す枠組み。
  • その基盤に、複雑系科学・神経科学・組織心理学・行動科学の4領域を、階層を分担する層として統合する。
  • 「臨床」とは、外から診断するのではなく、現場(ベッドサイド)で観察と介入を続ける態度のこと。
  • COSは結果を保証する手法ではなく、好ましい変化が起こる確率を高める理論提唱(Conceptual Analysis)。

なぜ「臨床」なのか

医療における「臨床」とは、遠くから診断することではなく、ベッドサイドにいることを意味します。患者の状態を継続的に観察し、その変化に応じて介入を調整する。介入から離れた診断ではなく、介入と観察が分かちがたく結びついた態度です。

COSは、組織に対してこの態度をとります。私たちは、外側から組織を診断して処方箋を渡すのではなく、組織の中に入り、その内側から観察と介入を続けます。研究実践ファームという自己定義は、この姿勢の表明です。

同時に、「臨床」という語にはもう一つの意味があります。臨床医学は病気の経過を完全に予測・制御できると主張しません。メカニズムを十分に理解することで、好ましい結果が起こる確率を高める——COSもまた、この立場を共有します。組織の特定の結末を設計するのではなく、構造的な遷移が起こりやすい条件を整えるのが私たちの仕事です。


中核仮説:組織の安定とは何か

組織の安定は、再帰的に再生産される動的な状態である

既存の組織変革論の多くは、組織の安定を「変化への抵抗」「慣性」として捉えます。しかしこの見方では、なぜ変革が一時的に成功しても元に戻ってしまうのかを十分に説明できません。

COSは、組織の安定を動的に維持されている状態として捉え直します。組織が現在の状態に留まるのは、メンバーの相互作用パターンが互いを再生産し合っているからです。停滞は静止ではなく、見えないループの中で続いている運動です。

この見方が変わると、介入の対象も変わります。表面の行動を直接変えようとするのではなく、その行動を再生産している構造そのものに介入する——COSはこの構造的介入の方法論を体系化したものです。


4つの学問領域

COSは4つの学問領域を、それぞれ異なる説明階層を担う層として統合します。各領域は独立に組織を説明するのではなく、階層をまたいで相互に補完し合います。

  • 複雑系科学(マクロ層)

組織を、線形ではなく非線形に振る舞う、経路依存的な複雑適応系として捉える視点。Kauffman、Stacey、Prigogineの理論を基盤とします。

  • 神経科学(整合層)

個人レベルでなぜ行動が自己持続するのかを説明する理論層。Kandelの神経可塑性研究を中心に、習慣形成と社会的結合の理論的整合性を提供します。COSは神経測定や直接的介入は行いません。

  • 組織心理学(メソ層)

個人の心理がどのように集合的な組織現象へ集約されるかを説明する層。Lewinの場の理論、Edmondsonの心理的安全性、Weickのセンスメイキングが含まれます。

  • 行動科学(ミクロ層)

個別の行動と習慣形成のレベルでの介入設計原理。Foggの行動デザイン、Wienerのサイバネティクス、Meadowsのシステム思考を活用します。

4学問領域の詳細を読む


3つの介入技法

COSは、上記の理論統合を、再現可能な3つの介入技法へと操作化します。各技法は階層構造をなし、神経基盤設計が他の2技法の前提条件として機能します。

  • Field Gradient Theory / 場の勾配理論

三者構造の意図的な非対称性により、既存のアトラクター状態を擾乱する技法。

  • Loop Conversion Design / ループ変換設計

自己増幅型の正フィードバックを、自己修正型の負フィードバックへ変換するサイバネティクス設計。

  • Neural Base Design / 神経基盤設計

習慣化された行動リズムにより、関係的・神経学的基盤を構築する基礎技法。


創発の橋

創発の橋——個人の習慣はどのように組織の変化になるか

COSの中核理論的主張のひとつが「創発の橋(emergence bridge)」です。これは、個人レベルの行動習慣が、相互作用を通じてどのように組織レベルのパターン変化へと立ち上がっていくかを説明する多階層メカニズムです。

神経基盤設計によって個人の行動入力が習慣化される。その習慣化された入力が、繰り返しの相互作用に投入される。Feldman & Pentlandの組織ルーチン理論によれば、ルーチンは参加者がもたらす行動入力が体系的に変わるとき、変化します。変わった行動入力が日常になると、組織のルーチンが変わり、新しいアトラクター状態が立ち上がる——これが、習慣がアトラクターになる経路です。

この集約は加算的ではなく、創発的です。個々のメンバーの変化が単純に足し合わさって組織が変わるのではなく、相互作用を通じて新しい全体が立ち上がります。

創発の橋の詳細を読む


倫理的枠組み

COSは神経科学の概念を組織介入に統合する以上、倫理的な枠組みを伴わずには成立しません。私たちは4つの原則を介入設計の不可侵な制約として位置づけています。自律性——介入は個人の自律性を迂回・搾取するように設計されません。透明性——介入の目的と方法はクライアント組織に明示的に開示されます。参加——介入は組織に対してではなく、組織と共に行われます。取消可能性——介入構造は参加者の要求に応じていつでも撤回可能です。

COSは神経状態を直接操作する技法ではありません。神経科学は、行動と社会の条件を設計するための理論的整合層として機能します。この区別は、クライアント組織への透明性原則の中心的な構成要素です。

倫理的ガバナンスの詳細を読む


認識論的立場

確率論としての構造的介入

複雑系の中で、私たちは特定の組織的結末を設計することはできません。これはCOSの限界ではなく、対象の本質に由来する制約です。私たちが提供できるのは、構造的な遷移が起こる確率を高める介入条件の設計です。

「原則的な確率論」——COSの認識論的立場をこう呼びます。組織的安定の構造的メカニズムを理解し、それに沿って介入を設計することで、変化が起き、そして続く確率を高める。複雑な領域において科学が提供できるのは、好ましい創発の確率を高めることです。


参考文献

COSが統合する4領域の、基盤となる研究を挙げます(各領域の詳細は「4つの学問領域」を参照)。


論文と引用

COSの完全な理論記述は、査読付き学術論文として公開されています。

Yamanaka, M., & Nakamori, M. (2026). Clinical Organizational Science: An Integrative Framework for Structural Intervention in Complex Organizations. Frontiers in Psychology, 17. DOI: 10.3389/fpsyg.2026.1827324 ライセンス:CC BY 4.0

論文ページへ →PDFをダウンロード →日本語要約版を読む →


Reading Order — COS概念を体系的に学ぶ順序

COSの12概念ページを体系的に学びたい方のために、推奨される読書順序を提示します。これは論文の構成順とは少し異なり、理解の段階性を考慮した順序です。

Stage 1:基盤理解(中核概念)

Stage 2:中核理論(メカニズム理解)

Stage 3:3つの介入技法(実装の理論)

Stage 4:詳細プロトコル(実装の具体)

Stage 5:倫理と用語

この順序で読むことで、COSの理論体系を段階的に理解できます。各ページは独立して読めるように書かれていますが、相互参照を最も活かす順序として提案するものです。所要時間は、すべて精読すると約3〜4時間です。


Glossary

COSの理解には、専門用語の正確な定義が役立ちます。アトラクター、構造的介入、創発の橋、3Good1More、2-on-1構造など、主要概念の定義は別ページにまとめています。

用語集を読む →


RESEARCH TO PRACTICE

研究知見を、自社の組織課題にどう適用できるか相談する。

論文や概念の理解にとどめず、経営課題、組織診断、変革テーマの設計へ接続して検討できます。

研究知見の実装を相談する

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